2014/06/24

手錠をかけられたボクサー

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シリコンバレーに移住して約2年。ようやくいろんなことが見えてきて
やるべきことがわかってきました。その取り組み内容に関してはまた
別の記事で書くとして、今日は英語について書きたいなと思います。

グローバル展開において英語の重要性が高いのは当然のことですが
海外に出てきたアントレプレナーが英語が出来ない状態を例えると
手錠をかけられた状態で試合に望むボクサーと同じであるということです。


日本国内の展開は同じ言語を話し、似た価値観、高い倫理観を持つ、
厳格なルールを順守する日本人相手のマーケットを
ボクシングだとすると、グローバル展開は多種多様な人種が入り乱れ、
ルールなんてあってないような異種格闘技戦であるということです。

私は日本で10年以上経営をし、それなりに頑張ってきたつもり
ですので、日本国内のルールにおいてはある程度何をやっても
成果を出せる自信はありますが、一旦日本を出ると英語が不自由な
手錠をかけられたボクサー状態で異種格闘技戦に挑むと
コテンパンにやられてしまうわけです。

キックが飛んできたり、いきなり掴みかかってくる相手に対して
せめて自由自在に手が動かせたら、それなりに戦える自信はあるのに
その手さえ手錠がかかっている。こんなに歯がゆい苦しいことはありません。

通訳をつければいいじゃないか。いえいえ、そんなとんでもない。
いくら手錠がかかっていないとはいえ、格闘技の素人が試合に
挑んだら一瞬で吹き飛ばされてしまいます。

英語ができる”だけ”の人が商談でいい成果を出せるはずがありません。
コーナーからいくら口で指示を飛ばしても自分と同じようには
動けません。日本語で考えたらわかりやすいのですが、
高校生、大学生でもネイティブの日本語を話せますが、
一線のビジネス商談で成果を出せるかというとNoですよね。
それと同じです。業界動向、相手の意向、交渉条件、Win-Winの
パートナーシップ、その他雑談からテンポ良くつくり上げる
商談の空気感を通訳を通しては作れません。

最終的に出した結論は手錠を外し、やったこともないキックや
関節技の練習を一からすること。語学学校やスカイプ英会話
ではなくネイティブの中に飛び込み、とことん揉まれるために
現地の大学に入学することにしました。ChatWork Incで
働いている日本人大学生インターンに大学入学について相談したら
「ESLに行くのは時間の無駄です。ネイティブだと嘘をついて
入試を受けてください。大丈夫です、いけますから。」
というアドバイスを元にネイティブ枠で入学へ。。。

当然英語レベルが低いクラスに割り当てられることになったけれど
そうはいっても周りはレベル低めの現地の高校を卒業してきた
ネイティブばかり。先生も当然容赦なく普通に話すし
生徒も私をネイティブ扱いして話しかけてくる。。。
全くついていけない状態からのスタートで冷や汗の連続。

授業では相手チームを論破しないといけないディベートの
セッションもあり、日本語だったら何百人の経営者の前の
講演でも全く緊張しないのに、英語ディベートの前は緊張で
お腹が痛くなったり、何度逃げ出そうと思ったかわからないほど。
頭の中では辞めることになっても仕方がなかったという
言い訳のアイデアばかりが浮かんで納得させようとしている自分がいる。。。

ネイティブだったら1時間で終わる宿題も少なくとも2、3時間は
かかってしまう。ChatWork米国と日本の両方をマネジメント
しながらの宿題は毎日頭を掻きむしりながら気合いでやり切る!

そんな時家族、社員、CWユーザーをはじめ、応援してくれる
人の顔を思い浮かべながら、1日1日を無我夢中で乗り越えていく、
いつかいつかこの状況を乗り切ることができる日を信じて。。。

3ヶ月ごとのクオーター制の授業で、今日が2期目の最終日
だったけれど、終わってみれば1期・2期を通して生徒の中で
唯一無遅刻無欠席、全宿題提出。
英語スキルが低いから真面目さだけは誰にも負けないように
しようと取り組んだ。日本の学生時代は雨が降ったら
学校休んでた自分からは想像できない真面目さだけど、
手錠を外すという明確な目標と周りの応援があったから何とかやり切れた。

大学に行ったことによる負担は想像以上だったけれど、その一方で
得れたものも想像以上だった。手錠はまだ完全には外れてないけれど、
英語力がかなり伸びたことで、手錠の間隔が広くなり
かなり自由に手を動かせるようになったこと。
そして利害関係のないネイティブの学生と交流を持ったことで
アメリカ人の考え方、行動パターンが見えてきたこと、
そしてその生徒を動かす先生のマネジメント手法を見れたこと。

具体的な一例を挙げると、先生は基本的に遅刻しても欠席しても
生徒に対して怒ることはしない。アメリカは自己責任の国だから。
でも授業には来てもらいたい。ある月曜日の朝、
教室には時間通りに来た生徒は半分くらいで、
先生が取った行動は「時間どおりに来てるみんなには
追加ポイントをあげます。ブライアン3ポイント、
アレックス3ポイント、カレン3ポイント・・・」
1人ずつの名前を読み上げながら単位取得に必要なポイントを
あげていく。時間通りに来たら得するんだよと洗脳するように。

同様に「この問題を解いた最初の3人に5ポイントあげます」
というように、とにかくポイントで釣る。日本人だったら
そんなあからさまに人参をぶら下げられると反発が来そうな
単純なやり方で。なるほど。小さい頃からこうやってわかりやすい
報酬によって動かされてるから成果主義が成り立つんだなと気づく。

こうなったらとことんいろんなことを実験してみようと思い立って
いろいろアイデアを考えてみる。
利害関係がある関係だと本音が出なかったり、後々の人間関係に
響くことがあるけれど、大学のクラスメイトで、しかも3ヶ月ごとに
生徒の大半が入れ替わるので異種格闘技戦を体験する上で
大学のクラスはこの上ない練習場だなと。笑

1期目は英語がわからない大人しいアジア人という
立ち位置だったけれど、2期目は初日から自己紹介で
スタートアップのCEOをやっていると言ってみるなど実験し放題。
アメリカの大学生は借金して大学に通っている人も多いので
次々にアルバイトさせて欲しいとアプローチされる。笑
(授業中の態度を見てるので当然雇わないけれど・・・)
2期目のディベートはネタを仕込んで望んだら予想以上にウケて
先生からも生徒からも面白い存在として扱われて、1期目とは
全く違う体験になった。ただ、未だになんでこんなに適当なのか、
なんですぐに考えたらわかるのにわかりやすいミスをするのか、
なんでこんなにメールの返事をしないのかなど、解明できていない
部分は多々あれど、英語力と共にアメリカ人への理解度も
大きく成長したのは半年間苦しんだ甲斐があったなと思う。

7月は第2子が産まれる予定なので一旦大学は休むけれど
第3期ではどんな設定でどんな実験をしようか検討中。

久々に宿題のない、そして2期目が終わった夜ということもあって
ダラダラと長く書いてしまいましたが、言いたかったことは
グローバル展開したい人はとにかく手錠を外して異種格闘技戦に
挑む覚悟で飛び込んでもらいたいということです。

グローバル展開した全ての方が体感しますが、日本を出てみたら
(日本人にとって)日本ほどやりやすい、マーケットの大きい
おいしい市場はないということです。中途半端にグローバル展開
したいなぁという気持ちではなく、やるなら異種格闘技戦に
真っ向から挑む、そうでないなら日本市場に徹するのいずれかが
中途半端にならない唯一の選択かなと個人的には思います。

半年間たまりに溜まった思いを長文のブログ記事で掃き出して
とてもスッキリしていますが、最後までお付き合いいただき
ありがとうございます。

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